2025/05/11 復活節第4主日 お説教

  〔5月11日/復活節第4主日〕


主イエスは、ご自分に従う私たちに、「永遠の命を与える」と約束してくださいました。そして、主が復活された今、私たちには、永遠の命が与えられています。今日は「世界召命祈願の日」です。召命とは、私たちが今生きている、この地上で、永遠のいのちを生きていくようにという呼びかけです。

 永遠のいのちを生きていくとは、どのように生きていくことでしょうか。先月21日に帰天した教皇フランシスコは、一昨年2023年10月に出された、地球の気候危機についての文書の中で、次のような言葉を残しています。「飽きられるほど繰り返し申し上げている二つの確信を、今一度述べたいと思います。ー『すべてはつながっています』、そして『だれも独りでは救われません』。」私たちは今日、再び、この言葉を分かち合いたいと思います。教皇の確信を、私たち自身の確信にしたいと思います。

 永遠のいのちとは、いのちのつながりです。神のいのちと、私たちのいのちのつながりです。主イエスは今日、「わたしと父とはひとつである」と宣言されています。御子のいのちと御父のいのちがつながり、ひとつになっているということです。そして、私たちも、このいのちにつながっているのです。このいのちのつながりを、毎日、生きていくように呼びかけられているのです。

 このいのちのつながりは、神によって造られ、大切にされている、私たち同士の、いのちのつながりでもあります。地球上のすべてのいのちのつながりです。だれも独りでは救われないとは、このいのちのつながりを表していると言えます。だれも、独りでは幸福になれないのです。この世界では、あまりにも多くの人が、幸福を感じることができない生活を強いられています。数えきれない人が、常にいのちの危機にさらされています。虐待や差別によって、人生という、いのちを生きる力を奪われている人がいます。こうした人びとの多くは、沈黙を強いられ、声を上げることもできません。こうした世界の中にあって、いのちのつながりを考えずに、自分だけの幸福を求めることは、最大の不幸です。まわりの人の悲しみ、まわりのいのちの苦しみを感じることができないことほどの不幸はないのです。まわりの人のことを考える余裕がないということは、それほど忙しいということは、不幸なことであり、救われていないということなのです。

 召命とは、神と、すべてのいのちと、まわりの人とつながって生きていくようにという招きです。みんなで救われたい、ともに幸せになりたいという願いであり、みんなで幸せになることができる、ともに幸せになる日が来るという希望です。希望の巡礼者である私たちは、この願い、希望を分かち合うよう呼びかけられています。希望を宣べ伝えることは、すべての人の召命なのです。

 ここで、天上のいのちについても考えたいと思います。私たちは、天上にいる人たちの執り成しを願います。天上のいのちと地上のいのちは、祈りによってつながっています。天上にいる人たちは、私たちと苦しみや悲しみをともにしています。苦しみや悲しみをともにしているからこそ、私たちのために祈っているのです。天上の人たちは、祈りという召命を生きているのです。そして、地上で生きている私たちも、祈ることができます。自分の救い、自分の幸福だけでなく、すべての人の幸福のために祈ることができます。祈ることも、すべての人の召命なのです。私たち人間は、祈るために、ともに祈るために、祈りを分かち合うために、永遠のいのちを与えられているのです。祈り続ける時、永遠のいのちを生きているのです。

 フランシスコ教皇は、3月の入院中に出した、今年の世界召命祈願の日のメッセージの中で、次のように述べでいます。「召命とは、神が心に授けてくださる尊いたまものであり、愛と奉仕の道に踏み出すべく自分自身の殻から出るようにという呼びかけです。」だれかを愛するとは、その人の、本当の幸福を願いながら、その人ととも生きることです。何が、この人にとって一番良いことなのだろう。そんな問いかけをしながら、ともに生きることです。こうした願いや問いかけは、私たちを、自分の中心の生き方から解放します。私たちの生き方は、ともに幸せになろうという生き方、みんなで救われようという生き方へと変えられていきます。「自分自身の殻から出る」ということは、このように生き方が変えられていくことではないでしょうか。愛という召命は、愛によって私たちが変えられていくことだと言えます。

 私たちはすでに、いのちのつながりという、永遠のいのちを与えられています。このいのちを、日々、感じながら、感謝しながら、ともに歩んでいきたいと思います。私たちの生きる姿が、まわりの人に希望を与えることを願って、信じて、希望の巡礼者の歩みを続けていきたいと思います。


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