2025/7/13 年間第15主日 お説教

 

[7月13日/年間第15主日]

[お説教]

 「御言葉はあなたのごく近くにあり、あなたの口と心にあるのだから、それを行うことができる。」この言葉は、私たちを励ます、希望の言葉です。そして、私たちが、この励ましに応えて、御言葉を行う時、行おうとする時、私たちは、本当に生きていることになるのです。「永遠の命を受け継ぐこと」になるのです。「命が得られる」のです。

 

今日の福音で、主イエスが語られる、たとえ話は、私たちがよく知っている話です。主は、このたとえ話によって、「半殺しに」された人を助けたサマリア人のように、日々出会う人の隣人になりなさいと励ましておられます。すべての人の隣人となることで、幸せに生きなさいと励ましておられます。

 

このたとえ話に登場するサマリア人は、幸せなサマリア人です。最も大切なものを見つけ、その大切なものを守るために、迷うことなく、行動することができたからです。最も大切なものを守るために、自分の持ちものをささげることができたからです。

 

「追いはぎに襲われた人」は、「半殺しに」されていました。「半殺し」にされた人を見ただけでは、その人が生きているかどうかがわかりません。たとえ話に登場する、「ある祭司」と「レビ人」は、半殺しにされた人が、もう死んでいるのかもしれないと思ったのではないでしょうか。そして、自分も襲われて、この人のようになりたくないと恐れたのではないでしょうか。二人は、半殺しにされた人を見て、「道の向こう側」に行ってしまいました。二人は、死を恐れ、死を避けようとするあまり、いのちという、最も大切なものを見失いました。死という絶望に支配され、いのちという希望を持つことができませんでした。いのちの「向こう側」に行ってしまったのです。

 

サマリア人は、どうだったでしょうか。サマリア人は、半殺しにされた人を、「見て憐れに思」ったのです。まだ生きていると思ったのです。憐れに思うとは、苦しんでいるいのちを発見することです。最も大切なものを見い出すことです。他人の苦しみや悲しみを、自分の痛みや苦しみのように感じることです。感じて、ともに生きてほしいと、強く願うことです。願うだけでなく、いのちに近づき、触れることです。いのちのために、自分ができることは何でも、すること、しようとすることです。そして、ともに生きたいという希望を分かち合うことです。向こう側に行ってしまった二人は、憐れに思うことができませんでした。痛みや苦しみを、ともに感じることができませんでした。ともに生きたいという希望を持つことができませんでした。

 

さらに、祭司とレビ人は、死体やけが人の血に触れると汚れるという律法を思い出し、清めの儀式のために時間をかけたくないと思ったかもしれません。二人は、忙しかったのかもしれません。さまざまな務めがあり、多くの求めに応じなければならなかったのかもしれません。傷ついた人に関わる余裕がなかったのかもしれません。サマリア人は、傷ついた人を助けるために、たっぷりと時間をかけました。

 

今日、主の御言葉に心を傾けている私たちは、憐れに思って、足を止めたサマリア人のようになりたいと願っています。サマリア人のようになれたら、幸せだと思っています。実際、サマリア人のように、傷ついたいのちを助けたこともあります。そのために、大切な時間を費やしたこともあります。それと同時に、道の向こう側に行ってしまった祭司やレビ人のような行動をしたこともあります。憐れに思いながらも、恐くて、余裕がなくて、見て見ぬふりをして、逃げてしまったこともあります。私たちは、サマリア人であり、祭司やレビ人なのです。今日のたとえ話の中で、サマリア人も、祭司やレビ人も、同じ道を歩んでいます。この道こそ、すべての人が隣人になっていく道だと言えます。隣人になって、ともに生きることができるという希望の道だと言えます。希望の巡礼者である私たちは、サマリア人のように幸せになることができると信じて、歩み続けたいと思います。善い、幸いなサマリア人という希望を持って、隣人になっていく道を歩んでいきたいと思います。隣人になるという「永遠の命を受け継ぐ」道を歩んでいきたいと思います。今日は祭司やレビ人になってしまったが、明日は、サマリア人になろう、きっとサマリア人なれるという希望を持って、ともに歩んでいきたいと思います。

 

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