2025/8/15 聖母マリアの被昇天 お説教

[8月15日/聖母マリアの被昇天] 


[お説教]

今日の福音で、聖母マリアは、救いの希望を分かち合うために、エリサベトを訪れます。マリアは、希望の巡礼者です。私たちも今日、この分かち合いに加わります。 

希望の分かち合いを広げていきます。 

聖母マリアの被昇天という希望を、まわりの人と分かち合います。被昇天とは、すべてのいのちが、マリアのように救われるということなのです。 


では、マリアがエリサベトと分かち合った救いの希望とは、どのような希望でしょうか。

それは、すべてのいのちが、ともに救われるという希望です。 

すべてのいのちが、「ともに天の栄光に上げられ」るという希望です。 

「天の栄光」とは、神に大切にされている、きわめてよい存在として、輝くということです。それでは、喜びに満ちて、救いの希望を宣言するマリアの預言に心の耳を傾けましょう。


すべてのいのちが、きわめてよい存在として、輝くために、主は、「思い上がる者を打ち散らし、権力ある者をその座から引き降ろし」ます。 

思い上がる者とは、神に生かされていることを忘れ、隣人に支えられていることに感謝しない者のことです。自分がいつも正しいと思い込み、祈りを怠り、隣人に耳を傾けない者のことです。 

神は、こうした者たちを回心へと招かれます。祈りがなければ生きていけない、まわりの助けがあるから生きていけるという気づきを与えられます。そして、権力ある者を、まわりの人を自分の思い通りにするという暴力を振るうことから解放して、神と隣人に仕える喜びを与えてくださいます。祈りと感謝を忘れず、喜んで仕える人こそ、救われている人、輝いている人なのです。 


マリアはさらに、「身分の低い者を高く上げ、飢えた人を良い物で満たし、富める者を空腹のまま追い返されます」と宣言します。 

神の前では、すべての人が尊い存在です。私たちが優れているから尊い存在なのではなく、神に愛されているから、皆尊い存在なのです。 

マリアは、「身分の低い、この主のはしためにも目を留めてくださった」と言って、神を賛美しています。マリアは、神の恵みの大きさ、神の愛の深さを賛美しているのです。 


私たちは、自分の貧しさ、自分の弱さを、謙虚に認める時、神に愛されていることを体験し、すべてが恵みであることに気づき、感謝するようになるのです。すべてのよいものを、まわりの人と分かち合うようになるのです。神から与えられたものすべてを、 皆で分かち合うことで、すべてのものが、きわめてよいものになるのです。 

分かち合うから、飢えた人が豊かさを味わい、富める者が貧しい人の苦しみを知るのです。天の栄光に上げられる人は、すべてのいのちと、神の恵みを分かち合うのです。神の愛の深さに、隣人への愛で応えるのです。 


6日に始まった平和旬間は、今日が最終日です。 

平和とは、すべてのいのちが、尊い存在として、天の栄光で輝くことだと言えます。 

すべてのいのちが、良いものを分かち合えることだと言えます。 

今の世界では、この分かち合いが実現していません。実現していないどころか、すべてのいのちが、最も悪いものによって、滅亡するかもしれないという危機的状況にあります。 

最も悪いものの一つは、核兵器です。希望の巡礼者である私たちは、「核による抑止力」に希望を見い出すことはできません。「核なき世界」こそが、私たちの希望です。 


先週の9日に出された「長崎平和宣言」の中で、次のように述べられています。 


「『人類は核兵器をなくすことができる』。強い希望を胸に、声を上げ続けた被爆者の姿に、多くの市民が共感し、やがて長崎に『地球市民』という言葉が根付きました。 

この言葉には、人種や国境などの垣根を越え、地球という大きな一つのまちの住民として、ともに平和な未来を築いていこうという思いが込められています。 

この『地球市民』の視点こそ、分断された世界をつなぎ直す原動力となるのではないでしょうか。」 


マリアとエリサベトの希望の分かち合いは、「地球市民」の分かち合いです。 

希望の巡礼者である私たちも、この分かち合いに加わり、この地上を、「地球市民」として歩んでいきたいと思います。 

すべてのいのちが、きわめてよい存在として、輝くことを願って、仕え合いながら、ともに歩んでいきたいと思います。


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